不整脈とは「脈の乱れ」のことで、脈拍数が異常に多い場合や少ない場合のほか、脈が飛ぶ場合も含まれます。こうした異常がなくても、心電図の所見で不整脈と診断される場合もあります。
心臓は筋肉からできている臓器で、弱い電気で動きます。電気は洞結節(指令を出す役割)から伝導路を通って、心臓の筋肉全体に伝わっていきます。これが不規則になると、心臓の収縮リズムが乱れ、不整脈となるのです。
不整脈の種類は数百種類あるといわれていますが、よく見られるのは十数種類で、脈の速さ(心拍数)によって大きく3つのグループに分類されます。
1つ目は、脈拍数が1分間に100回以上と非常に速くなる頻脈性不整脈です。症状が出た時は心臓がドキドキしますが、心臓そのものが特に悪くなくても起こる場合があります。病名としては、発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動などがこれに当たります。
2つ目が、脈拍が遅くなるタイプの徐脈性不整脈です。洞不全症候群や房室ブロックが該当します。高齢者に多く、脈拍数が1分間に50回以下と非常に遅くなったり、時には数秒間心臓が止まる場合もあります。
そして3つ目が、心臓のリズムが乱れて脈が飛ぶ期外収縮です。不整脈の中で一番多く、心臓に異常がなくても症状が出ることがあります。
このほか頻脈性不整脈の中には、致死的不整脈と呼ばれる命に関わる病気もあります。心室頻拍や心室細動などがこれに当たりますが、心筋梗塞や特発性心筋症などの心臓の病気により現れるもので、心臓から血液が全く送られなくなる病気です。
不整脈は、心臓に異常がなければ薬の服用を必要としない場合もあります。不整脈の治療薬は非常に効果がある代わりに副作用も強いので、薬を使うメリットが大きいと判断された場合に使用します。
薬以外の治療法としては、ペースメーカーなどの医療機器を体内に植え込むデバイス治療、血管内に細い管を通して心臓の病変部を焼くカテーテルアブレーション、心臓外科手術などがあります。これらの治療法が病態や症状の重さに応じて選択されますが、近年は安全性が高く効果も高い治療法として、カテーテルアブレーションが選択されるケースが増えています。
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